EDIの基本を学ぶ

EDIとは

EDI(Electronic Data Interchange)について、おさらいしたいと思います。EDIを直訳すると「電子データの交換」となります。企業同士でEDIを使用することにより、スムーズかつダイレクトなB2Bコミュニケーションが実現されます。EDIでやり取りされる代表例は、発注書や請求書でしょう。これらのコミュニケーションには、業界固有のものが存在します。たとえば、保険業界では保険金請求の照合や保険金支払いにEDIメッセージが使われています。医療業界では、患者が別の病院に移るときに当該患者の情報を共有するためにEDIが使用されることがあります。

一般的に目的や機能が同じであれば、EDI文書と紙の文書には同じ情報が記載されています。例えば「ED940:出荷指示」は 、製造業者から小売業者に出荷する製品を倉庫に通知するために使用します。この注文書には「出荷先住所」と「請求先住所」「製品番号」と「(出荷)数量」が記載されています。実際に、医療や運輸、エンジニアリングなど多くの産業でEDIは利用されています。


EDIを利用するメリット

Forrester Researchは、EDIのメッセージデータとしての価値は今後も変わらないだろうと述べています。同社は研究の中で「世界中のEDIメッセージのトランザクション量は年間200億を超え、さらに成長を続けている」とも記しています。企業がEDIを導入することのメリットとして以下が挙げられます。

  • ベンダーによる在庫管理
  • 取引スピードの向上
  • 視認性の向上(確認のしやすさ)
  • ドキュメント精度の向上
  • リードタイムの短縮
  • コスト節減


EDIスタンダードの重要性

EDIを支える技術は、ファックスや郵便、eメールの代替手段として、20〜30年前に設計されたものです。紙やeメールによる人間が介在するコミュニケーションから自動化されたEDIメッセージに置き換えることで、多くの企業にとってコスト削減につながりました。ただ、EDIメッセージは自動化されているため、メッセージは標準化されたフォーマットでなければなりません。

EDIには、「ANSI」「EDIFACT」「TRADACOMS」「ebXML」など、数多くの規格があります。各規格には「ANSI 5010」や「EDIFACT version D12」など、さまざまなバージョンも存在しています。そのため、取引のある複数企業は使用するEDI規格に合意するか、何らかの翻訳サービス(自社開発やサードパーティが提供するソフト)を採用しなければなりません。

EDI規格では、特定の文書の必須情報と任意情報の両方を規定し、文書構造についての規則が明確化されています。請求書のようなEDI文書の作成には、テキストの順番とそのテキスト内のデータフィールドの順番が重要となり、EDI規格を厳守しなければなりません。そうでなければ、送信側の文書を受信側が解読できなくなってしまいます。EDI規格では、各情報が文書内のどこに記述されているかを正確に定義しています。ひとつのEDIメッセージには、ひとつのビジネス文書(注文書、請求書または出荷通知など)しか存在できません。

多くの業界でEDIは、重要なビジネスプロセスの連絡手段として定着しており、当面は廃止されることがないと考えられます。


EDIのデメリット

実は、EDI文書は人間が読みやすい構造にはなっていません。以下は、EDIメッセージの一例です。

:UNA:+.? '
:UNB+IATB:1+6XPPC+LHPPC+940101:0950+1'
:UNH+1+PAORES:93:1:IA'
:MSG+1:45'
:IFT+3+XYZCOMPANY AVAILABILITY'
:ERC+A7V:1:AMD'
:IFT+3+NO MORE FLIGHTS'
:ODI'
:TVL+240493:1000::1220+FRA+JFK+DL+400+C'
:PDI++C:3+Y::3+F::1'
:APD+74C:0:::6++++++6X'
:TVL+240493:1740::2030+JFK+MIA+DL+081+C'
:PDI++C:4'
:APD+EM2:0:1630::6+++++++DA'
:UNT+13+1'
:UNZ+1+1'

EDIを使用することで複雑さが増してしまい、サプライチェーンやパートナーのオンボーディングに時間がかかっている企業も珍しくありません。一方、EDIによるやり取りがスタンダードとなっているため、EDIの使用中止も困難でしょう。多くの企業が、EDIを維持しながら、革新性と俊敏性を向上させる方法を模索しているのは、こういった実状によるものです。


EDIへの新たなアプローチ

MuleSoftは、EDIへの新しいアプローチを提案かつ提供しています。このアプローチでは『API主導の接続性』により、EDIのユースケースへの対応は当然のこと、新しい機能を追加することで企業の競争力を向上することができます。MuleSoftの『Anypoint Partner Manager』を使用することで、プロダクトの市場投入期間の短縮、変化が激しいサプライチェーン戦略への対応スピードの向上、運用コストの低減とそれにともなう利益率の改善を実現することができます。

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